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「痴漢」に関するお役立ち情報

痴漢の刑事弁護

  • 文責:所長 弁護士 足立博之
  • 最終更新日:2025年1月17日

痴漢行為をしたら、多くのケースで「現行犯逮捕」されますが、その後「勾留」されると、長期間、警察所で身柄を拘束され続ける可能性が高くなってしまいます。

身柄拘束が長引くと会社にも出勤できないため、社内での立場が悪くなってしまうと心配する方も多いでしょう。

痴漢で逮捕されたとき、「勾留」を防ぐ方法はないものでしょうか?

今回は、家族が痴漢の疑いで逮捕されたとき、勾留を阻止し、身柄を解放(釈放)してもらう方法をご説明します。

1 痴漢で逮捕された後の「勾留」とは

痴漢の疑いで逮捕されると、48時間以内に検察官の元へ身柄を送られます。

さらに、その後24時間以内に「勾留」決定されるか、釈放されるかが決まります。

このとき、「勾留」されなければ、逮捕されても3日以内に身柄を解放してもらえるのです。

それでは、「勾留」とはどのようなことなのでしょうか?

⑴ 勾留とは

勾留は、刑事事件の被疑者や被告人の身柄を拘束することです。

被疑者の場合、警察の留置場で身柄拘束を受けるケースが多く、期間は原則として10日間です。

ただし、10日間で捜査が終わらない場合、さらに最大で10日間勾留期間を延長できます。

そこで、起訴前の被疑者段階の勾留期間は最大20日間となります。

⑵ 勾留の要件

勾留は被疑者に対する重大な人権侵害となり得るものですから、どのような場合にも認められるわけではありません。

具体的には、以下のような要件を満たす場合に勾留が認められます。

【住所不定】

被疑者の住所が定まっていない場合、行方不明になるなど捜査に支障が出る可能性が高いため。

【証拠隠滅のおそれ】

被疑者を外に出しておくと証拠隠滅をはかる可能性がある場合、捜査の妨害を防止するため。

【逃亡のおそれ】

放っておくと被疑者が逃亡する可能性がある場合、被疑者の身柄を確保するため。

上記のような要件を満たさない場合には、逮捕されても勾留されず在宅のまま捜査を進めてもらえる可能性があります。

2 勾留された場合の刑事事件の流れ

⑴ 逮捕後3日以内に勾留される

逮捕されると、事件は48時間以内に検察官へと送られます。

検察官は、被疑者を勾留すべきと考えた場合には、送致を受けた後24時間以内に勾留請求を裁判所に行う必要があります。

つまり、逮捕後3日以内には勾留請求をされることとなります。

⑵ 10~20日間、取り調べが続く

検察官の勾留請求を受け、裁判所が勾留の決定を出すと、その勾留期間は勾留請求をした日から10日間続きます。

勾留請求日から10日以内に捜査が終わらない場合には、さらに最大で10日間延長されて、勾留期間は合計で最大20日間となることがあります。

その間は、取り調べその他の捜査が行われます。

⑶ 起訴か不起訴かが決定される

勾留期間の満了日までの間(ほとんどのケースでは、勾留期間満了日)に、検察官は起訴か不起訴か決定します。

⑷ 起訴されると裁判になる

起訴されると、刑事裁判が開始します。

略式裁判になった場合には書面審理が行われて罰金刑となり、罰金を納付してすぐに身柄を解放してもらえます。

通常裁判になったら、法廷で審理が開かれて、裁判官によって判決が言い渡されます。

⑸ 不起訴になったら釈放される

不起訴処分になったら、すぐに身柄を解放してもらえます。

裁判にもならず、前科もつきません。

3 勾留によって懸念される事項

⑴ 解雇の可能性

勾留されると原則として10日間以上の長期間身柄を拘束されるので、出勤が困難となります。

長期にわたって無断欠勤すると、多くの会社で懲戒解雇の理由とされます。

⑵ 退学の可能性

大学生や専門学校生、大学院生などの学生が勾留された場合、長期間欠席したり必要な試験を受けられなかったりすることで、退学や留年の可能性が高まります。

⑶ 噂が広まる可能性

長期にわたって家に戻って来ないと、近所にも噂が広まる可能性があります。

また、会社や学校でも「なぜ来ないのか? 何かあったのか?」と、あらぬ憶測を呼んでしまうかもしれません。

⑷ 家族に迷惑と心配をかける

被疑者の勾留によって最も大きな影響を受けるのは家族です。

仮に、一家の大黒柱が長期間勾留されると「今後家族の生活はどうなるのか?」「前科がつくのか?」「刑務所に行かねばならないのか?」など心配になります。

また、会社から家族に問い合わせの電話などが入り、家族が対応に困る例も多々あります。

4 痴漢で勾留されやすいケース

⑴ 不同意わいせつ罪が成立する場合

痴漢によって成立する犯罪には、主に「迷惑防止条例違反」と「不同意わいせつ罪」があります。

迷惑防止条例違反は、比較的軽度な痴漢の場合に成立します。

例えば、電車の中で女性の胸やおしりを服越しに触った場合などは、多くが迷惑防止条例違反です。

一方、下着の中に直接手を入れて性器を直接さわり続けたなど、悪質な痴漢の場合には不同意わいせつ罪が成立します。

不同意わいせつ罪は刑罰も重く犯行態様も悪質で、被疑者が証拠隠滅したり逃亡したりする可能性も高いと考えられるので、痴漢でも被疑罪名が不同意わいせつ罪の場合、引き続いて勾留される可能性が高くなります。

⑵ 否認している場合

痴漢で逮捕されたとき、すべての被疑者が事実を認めるとは限りません。

「やっていません」と主張する人もたくさんいます。

実際にやったかやっていないかは別として、否認していると「証拠隠滅」や「逃亡」のおそれが高いとみなされてしまうのが現状です。

痴漢行為を否認していると、勾留されやすくなります。

⑶ 逃亡のおそれがある場合

痴漢で逮捕される際に激しく抵抗して逃走しようとしたり、その場で実際に逃走して後に逮捕されたりした場合には、勾留しなければ再度逃亡する可能性が高いと考えられます。

また、被疑者が独身の一人暮らしで住居も賃貸住宅などの場合には、家族のいる会社員などと比べて逃亡のおそれが高いと思われるでしょう。

検察官が「逃亡のおそれがある」と判断すると勾留請求されてしまいます。

5 弁護士が勾留阻止のためにできること

痴漢で逮捕されたとき、勾留を阻止するにはどのように対応するのがよいのでしょうか?

逮捕された被疑者や家族にできることは極めて限られているので、勾留を阻止するには弁護士の力が必要です。

弁護士にご相談いただけましたら、以下のようなサポートや勾留阻止に向けての活動を行います。

⑴ 勾留阻止に向けてのはたらきかけ

逮捕後、勾留されないためにはまず検察官に「勾留請求をさせない」ことが重要です。

早期の段階で弁護士がつけば、弁護士が被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを指摘して、検察官に向けて勾留請求をしないようはたらきかけます。

家族による身元引受書を提出し、勾留の必要性がないことを示すなどして、勾留されずに在宅捜査にしてもらえる可能性を高めます。

⑵ 被害者との示談交渉

痴漢で逮捕された場合、勾留阻止と同時に不起訴処分を目指す必要があります。

釈放されても、事件は終わりではありません。

起訴されると有罪になって前科がつく可能性が高くなりますが、不起訴になったら罰則も適用されず前科もつかないからです。

万が一勾留されても、不起訴になったら釈放してもらえます。

弁護士がついたら速やかに被害者との示談交渉を開始して示談を成立させ、検察官に不起訴処分を申し入れます。

⑶ 否認事件への対応

やっていないのに痴漢で逮捕された場合、取り調べに対して慎重な対応が必要です。

決して不用意なことを話してはなりませんし、事実と異なる供述調書に署名押印してはなりません。

当初から弁護士がついていれば、取り調べに対する適切なアドバイスを受けられるので、後に不利益を受ける危険性が低下します。

6 痴漢の勾留阻止を目指すならお早めに弁護士へ

痴漢で逮捕されたとき、勾留を阻止するには素早い対応が必須です。

迷っている間に勾留が決定してしまわないよう、どうぞお早めに弁護士までご相談ください。

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